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森林緑地研究の最前線

森の「きのこ」の特殊能力で環境問題に挑む!-森林微生物の機能開発-

亀井 一郎森林バイオマス科学

Q. どうしてこの研究が必要なのですか?

21世紀に入り、世界は化石資源由来のエネルギーや化学物質依存の社会から、再生可能資源循環型の社会へ大きく舵を取ろうとしています。なかでも木材やエネルギー作物等の森林緑地バイオマス資源は、有機物の供給源として重要な位置を占めると考えられますが、利用するために革新的な変換技術が求められています。これを達成するためには、バイオマスの化学的特性を深く理解し、生物化学的な広い視点からのアプローチが必要です。

Q. 具体的にどのような研究を行うのですか?

私たちは、植物細胞壁主成分であるセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの化学的特性や、それを分解できる微生物について研究しています。セルロースやヘミセルロースは糖からできているので様々な発酵プロセスの原料となり得ます。そこで、代謝変換に適した特殊な微生物の開発を進めています。またリグニンは化学的に構造を変えることで様々な化成品原料に変換可能です。そのため必要な化学反応の開発を行っています。

Q. 最近の研究成果や課題を教えてください。

私たちは、木材を直接エタノールに変換することができる特殊な森林微生物を発見しました。それは白色腐朽菌という「きのこ」の仲間です。有機物の分解能力を特に進化させてきた、この「分解のスペシャリスト」は謎も多く、科学的興味が尽きません。私たちは、さらに新しい能力を持つ白色腐朽菌の仲間を自然界から探し出すとともに、それらの遺伝子を操作する技術を駆使して、革新的なバイオプロセスの構築に挑んでいます。


森のきのこ(タマゴタケ)

エタノール発酵性白色腐朽菌の菌糸

2016年3月9日