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森林緑地研究の最前線

樹木の成長や木材の耐久性の秘密に迫る!‐巨大な樹木の微細な世界‐

雉子 谷佳男木本植物科学

Q. どうしてその研究が必要なのですか?

木でつくられた空間は、爽やかな香りがして快適ですね。木は、光合成によって二酸化炭素からできた生物材料なので、低炭素社会の実現のためにも木造建築物が増えて欲しいものです。しかし、生物材料であるがゆえに樹木の種類や生育環境によって強度や耐久性、香りが異なります。それらの特性を発揮する要因やメカニズムを解明すれば、地震や台風、シロアリに強く、良い香りがする特別な樹木を森林でつくることができるかもしれません。

Q. 具体的にどのような研究を行うのですか?

木の研究は、物理、化学、生物のすべての知識を使います。木の強さは物理、樹木の成長は生物と化学、これらを結びつけて研究します。木は細胞からできているので、強度の大きな木の秘密を知るには、細胞壁の微細な構造を観察し、これらの細胞の分裂や分化の秘密を知るために、内生植物ホルモンを分析します。また、香りが良くてシロアリに強い木の秘密を知るために、木がつくる抽出成分を分析したり、シロアリに木を食べさせたりします。

Q. 最近の研究成果や課題を教えてください。

スギ材やヒノキ材の強さは、細胞壁の構造によって決まることがわかってきました。細胞壁の形成には、内生植物ホルモンが関与しています。シロアリに強いスギ材は、細胞壁を抽出成分がべったり覆うことで食べられないようにしています。内生植物ホルモンの分析技術を活かして、品質の優れた木材生産だけでなく、苗木・種子生産にも貢献していきたいと考えています。


左:抽出成分で覆われた細胞,右:細胞のみ

サイトカイニンと細胞の分化

2016年3月9日