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森林緑地研究の最前線

地球温暖化の緩和に森林はこれからも役に立つのか 

高木正博流域物質循環学

Q. どうしてこの研究が必要なのですか?

これから地球温暖化が進んでも,森林が二酸化炭素を大気から取り除いて貯め込んでくれるか(=炭素吸収源)を明らかにするためです。森林は二酸化炭素を光合成によって吸収・蓄積し,同時に呼吸によって放出します。光合成をするのは植物の葉だけですが,呼吸は葉だけでなく,根や土の中の動物,昆虫や菌類等によっても行われています。呼吸は温度が高くなると必ず増えます。そこでのこの研究では,温暖化した将来に土の中の生物による呼吸がどれだけ増えるのかを明らかにすることを目的としています。

Q. 具体的にどのような研究を行うのですか?

こたつヒーターで土を暖めることによって地球が温暖化した状態を先取りし,土から出る二酸化炭素の量(土壌呼吸と言います)がどれだけ増えるかを測定しています。土壌呼吸は根の呼吸と土壌中の生物の呼吸の両方が合わさったものです。この研究では後者,特に微生物による呼吸に着目しています。土壌呼吸は土の上の大きな箱を置き,中に貯まる二酸化炭素の量を測定して求めます。このとき,箱の周りの根を切り土の中に板で壁を作ると,箱の中の根を枯らすことができます。そうやって,根の影響を除いた微生物だけの呼吸量を測ることができます。

Q. 最近の成果や課題を教えてください。

6年間続けて測定したところです。その結果,土の温度が1度上がると微生物による呼吸が約1割増えることがわかりました。光合成はある程度温度が高くなるとそれ以上には増えなくなりますが,呼吸はその生物が死なない限り増え続けます。将来,地球温暖化がとめどなく進んでしまうと,森林生態系は光合成よりも呼吸の方が多くなってしまうかもしれません。それはすなわち,森林が二酸化炭素吸収源ではなく放出源になってしまうと言うことです。本当にそうなってしまう前に,このような研究のみならず,温暖化が樹木の成長に与える影響なども明らかにする必要があります。


こたつヒーターと土壌呼吸を測るための装置

ヒノキの光合成を測っているところ。

2017年1月13日